灰原薬「応天の門」第8巻の読書備忘録(要約と紹介と感想と)

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灰原薬氏による「応天の門」の第8巻です。

菅原道真が、学問とは誰のためにあるのだ、と自問自答するようになる、二つの出来事を扱っています。

己の才能をどのように使うのか、道真は、かつて、すべきことを見誤るなと、いわれたことを思い出しました。

道真の意識が徐々に変わっていくようになります。

本書で新たに二人の兄弟子が登場します。橘広相と都言道です。

舞台となる時代については「テーマ:平安時代(藤原氏の台頭、承平・天慶の乱、摂関政治、国風文化)」にまとめています。

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第8巻の基本情報

登場人物紹介:菅原是善

菅原是善(すがわら の これよし)。菅原道真の父です。

文徳・清和両天皇の侍読となって「文選」「漢書」を教えていたようです。

登場人物紹介:橘広相

橘広相(たちばな の ひろみ)。初名は博覧。

菅原是善に紀伝道を学びます。

貞観2年(860年)文章生に補せられ、貞観6年(864年)対策に及第します。

僅か5年で対策に及第した秀才です。

登場人物紹介:都言道

都良香(みやこ の よしか)。初名が言道(ことみち)。

貞観2年(860年)に文章生、貞観11年(869年)対策に及第します。

貞観12年(870年)に菅原道真が対策を受験した際の問答博士を務めました。

関係年表

ヒントになるような出来事がありません。貞観6年(864年)のままでしょうか。

ーーー第8巻はここからーーー

  • 864(貞観6)
    • 富士山噴火(貞観大噴火)富士山噴火史上最大
    • 亡くなった人物(円仁(入唐八家))

ーーー第8巻はここまでーーー

  • 865(貞観7)
    • 大きな出来事がありませんでした。
  • 866(貞観8) 応天門の変
    • 最澄に伝教大師、円仁に慈覚大師の諡号が授けられる
    • 応天門の変(応天門炎上し、伴善男が罰せられる)
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第8巻の「道真の平安時代講」【解説】本郷和人

  • 平安時代の暦について。貞観4年(862)から用いられたのが宣明暦です。江戸時代までの823年間使われました。
  • 陰陽寮について。平安貴族の日記は世界的な学問の役に立っています。日記には天文学に関することが描かれているからです。この天文に関することを学ぶのが陰陽寮でした。
  • 平安時代の試験について。大学寮の学生(がくしょう)に「寮試」→(合格)→凝文章生(ぎもんじょうしょう)→式部省の「省試」→(合格)→文章生(もんじょうしょう)→成績優秀者2名が文章得業生(もんじょうとくごうしょう)→「対策」(方略試や秀才試ともいう)→(合格)→官職に就く
  • 平安時代の従者について。貴族の従者といえば家司(けいし)がいますが、下級であっても貴族でした。
  • 平安時代の装飾品について。平安時代にかぎらずその後の時代の絵巻物とかを見てもアクセサリーは身に着けていませんでした。

物語のあらすじ

都で流行りたりける暦の事

紀長谷雄が高名な陰陽師が作ったという暦を持ってきました。長谷雄はこの暦のおかげで運気が上がったと言います。

それを聞いていた菅原道真はインチキなまじないだと断じました。

道真が預かり物を橘広相に渡しているところに都言道がやってきてお小言を頂戴しました。

最近、市中で盗みや失せ物の届けが増えていました。

この騒ぎには暦が関わっていました。

盗みに入られたのは、信心深く、正直そうなものばかりでした。

盗人たちは信心深いものに狙いを定めて手の込んだことを仕掛けたのです。

この暦を見ていた菅原道真は暦が正確すぎることに気が付きました。天文と暦道に通じた恐ろしく頭のいいものが関わっていそうです。

道真はその者に興味を持ち、陰陽寮を訪ねることにしました。

陰陽頭の家原郷好に暦を見せると、作ったのはおそらく古川幹麻呂だろうと言いました。

大学寮にて騒ぎが起こる事

珍しく大学寮に向かった菅原道真をみて、都言道は何があったのかと紀長谷雄に尋ねます。長谷雄にも思い当たることがありません。

道真は橘広相の講義を聞き終え、頼みごとがあると話しました。

その矢先、寮の蔵から煙が立ち上りました。火は消し止められましたが、最後に蔵に入った安野有兼が疑われました。

蔵の中で火が上がった原因をつきとめた道真は、有兼とともに5日後に試を受けることになりました。

試を終えた道真を在原業平の下で働いている是則が呼び留めました。私的な相談があるというのです。

ここしばらく業平が通っている屋敷に行くと、必ずと言っていいほど牛車の牛が眠り込んでしまうのだそうです。

道真は是則と一緒に件の屋敷に向かいました。

菅原道真、遊行する比丘尼と会う事

試に落ちた菅原道真は今の自分に足りないものを考えていました。

その頃、内教坊の伎女の指南に舞の大師が来ていました。

蔵の中に閉じこもっている道真を父・是善は在原業平を使って外に出させました。そして、そのまま鷹狩にいくように促します。

鷹狩の途中で村人に施しをする比丘尼に出会いました。青海尼と呼ばれた比丘尼の手から米粒が降っていました…。

番外編 白梅、菅家門前にて仔犬を拾う事

菅原家の前の溝にはまっていた仔犬を拾った白梅でしたが、その仔犬を見た道真から思いもよらぬことを聞かされます…。

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