灰原薬「応天の門」第9巻の感想とあらすじは?

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灰原薬氏による「応天の門」の第9巻です。

菅原道真は様々な人と出会い、学問に対する姿勢が変わっていきます。

次のセリフなどは道真の心境の変化をうまく表していると思います。

知識をどう使うかは人それぞれですから

バカが自滅するのは勝手ですけど

学問は

知は

知らぬものから奪うためにふるうものではない

応天の門 第9巻 「源融、別邸にて宴を催す事」

さて、菅原道真が藤原基経と遭遇し、次巻以降、様々な形でかかわりを持つようになっていきます。

舞台となる時代については「テーマ:平安時代(藤原氏の台頭、承平・天慶の乱、摂関政治、国風文化)」にまとめています。

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全巻の目次

  • 応天の門 第1巻
    • 在原業平少将、門上に小鬼を見る事
    • 都を賑わす玉虫の姫の事
  • 応天の門 第2巻
    • 怨霊出づる書の事
    • 藤原高子屋敷に怪の現れたる事
    • 鏡売るものぐるいの事
    • 番外編 白梅のおしごと
  • 応天の門 第3巻
    • 染殿の后、鬼に乱心せらるるの事
    • 道真、明石にて水脈を見る事
    • 在原業平、数多の災難に遭う事
  • 応天の門 第4巻
    • 在原業平、数多の災難に遭う事
    • 在原業平、京にて塩焼きの宴を催す事
    • 京に妖の夜行する事
    • 山科宮、山中の笛の音に惑わさるる事
    • 伴善男、吉夢を引き替ふる事
  • 応天の門 第5巻
    • 都にて、魂鎮めの祭の開かれる事
    • 長谷雄、唐美人に惑わさるる事
  • 応天の門 第6巻
    • 長谷雄、唐美人に惑わさるる事
    • 島田忠臣、菅家廊下につとむる事
    • 源融、庭に古桜を欲す事
  • 応天の門 第7巻
    • 藤原多美子、入内の事
  • 応天の門 第8巻
    • 都で流行りたりける暦の事
    • 大学寮にて騒ぎが起こる事
    • 菅原道真、遊行する比丘尼と会う事
    • 番外編 白梅、菅家門前にて仔犬を拾う事
  • 応天の門 第9巻 本作
    • 菅原道真、遊行する比丘尼と会う事
    • 禍を呼ぶ男の童の事
    • 源融、別邸にて宴を催す事
  • 応天の門 第10巻
    • 藤原基経、道真と会遇する事
    • 都に馬頭鬼があらわるる事
    • 菅原道真、米算用をする事
    • 番外編
  • 応天の門 第11巻
    • 菅原道真、山中に椿の怪をみる事
    • 大路に髪切る鬼の現わるる事
    • 菅原道真、盗人に疑わるる事
    • 番外編 天女に魅入られたる男の事
  • 応天の門 第12巻
    • 菅原道真、盗人に疑わるる事
    • 在原業平、山中に桃源郷を見る事
    • 土師忠道、菅原道真と遇する事
  • 応天の門 第13巻
    • 土師忠道、菅原道真と遇すること
    • 紀長谷雄、竹藪にて子を見付くる事
    • 都言道、山中にて天女に惑わさるる事
    • 番外編 業平、重陽に花を求むる事
  • 応天の門 第14巻
    • 在原業平、伊勢に呼ばれる事
    • 藤原良房、病に臥す事
  • 応天の門 第15巻
    • 典薬寮にて不老不死の薬が見つかる事
    • 源融、嵯峨に庭を望む事
    • 流人の隠岐より帰京する事
  • 応天の門 第16巻
  • 応天の門 第17巻
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第9巻の基本情報

登場人物紹介:源融

源融(みなもと の とおる)。嵯峨天皇の第十二皇子(嵯峨第十二源氏)です。嵯峨源氏融流初代。

藤原良房や藤原基経と権力闘争を繰り広げました。

六条河原院(現在の渉成園)を造営したとされ、世阿弥作の能「融」の元となりました。

紫式部の「源氏物語」の主人公・光源氏の実在モデルの有力候補といわれています。

関係年表

源融の造営した庭園が完成しました。

陸奥国塩釜の風景を模した六条河原院(現在の渉成園)ですが、いつの時期に出来上がったのかはわかっていません。

ヒントになりそうな出来事がないため、引き続き貞観6年(864年)ではないかと思います。

ーーー第9巻はここからーーー

  • 864(貞観6)
    • 富士山噴火(貞観大噴火)富士山噴火史上最大
    • 亡くなった人物(円仁(入唐八家))

ーーー第9巻はここまでーーー

  • 865(貞観7)
    • 大きな出来事がありませんでした。
  • 866(貞観8) 応天門の変
    • 最澄に伝教大師、円仁に慈覚大師の諡号が授けられる
    • 応天門の変(応天門炎上し、伴善男が罰せられる)

第9巻の「道真の平安時代講」【解説】本郷和人

  • 平安時代の乗り物について。貴族の乗り物は馬でしたが、高貴な方はだんだんと馬に乗らず、女性も乗馬していません。そこで牛車(ぎっしゃ)や輿がありました。
  • 貴族たちの喧嘩について。
  • 遷都の仕方とその後について。昔も太くて大きな材木はなかなかありませんでした。中国では材木が手に入らず、お寺を建てるのに日本の木が重宝されていたことが分かっています。都を作るときも同様で、長岡京で使われていた材木は平安京で使われました。この辺りの事情は田家康「気候で読む日本史」に詳しいです。
  • 平安時代のお稚児さんについて。美少年を愛でる風習は世界中にあり、日本はその中でも盛んだったということになっています。お稚児さんを愛好する文化は寺がリードして来ました。ルールや常識を超えて出世する貴族を調べると、研究者はまず上皇や関白などとの恋愛関係を疑うのを常としています。
  • 平安貴族の男子たちについて。貴族は氏ごとに簡単な学校を作ってそこで氏の子供たちは勉学しました。
  • 平安貴族の宴について。

物語のあらすじ

菅原道真、遊行する比丘尼と会う事

在原業平と菅原道真は桂木の姉・柏木の屋敷に着きました。

長岡京近くのため、周辺を散策に出た二人の前に猪が突然飛び出してきて、驚いた馬が道真を振り落として駆けだしました。

その先にいたのが比丘尼ですが、その比丘尼は暴れ馬をすぐさまなだめました。

助けてもらったお礼に道真は比丘尼に宿を提供したいと申し出て柏木の屋敷に戻りました。

柏木夫婦は青海尼を道真が連れてきたので驚き喜びました。青海尼は齢二百だといいます。

宮中で諍いがあり、源融が重傷を負ったという知らせが飛び込んできました。

在原業平がすぐさま源融の屋敷に向かうと、源信が笏があたって少し鼻血が出ただけということが分かりました。

あたった笏の持ち主は清原定成です。諍いの原因は大師でした。

清原定成は大師にいれあげて、誤って欄干から大師を突き落としてしまいました。

河原で気絶していた大師を在原業平が見つけ、柏木の屋敷に連れて帰りました。

そして、在原業平は青海尼と大師が同一人物であることを知りました。青海尼は己の過去のことを在原業平と菅原道真に話します。

禍を呼ぶ男の童の事

藤原常行は昔のことを思い出していました。そこに武市丸がやってきます…。

藤原常行は在原業平にモテない秘訣を教えてほしいと言ってきました。そして、常行が3年も通い続けている小雪姫の屋敷に向かいました。

相談は小雪姫の弟・武市丸についてです。

武市丸は見習いとして方々から誘われていましたが、何故か不幸が続くため、己が悪いと思い、俗世を捨てて山寺に行こうかと悩んでいました。

業平と常行は武市丸が山寺にいったら飢えた僧の餌食になると考え、思いとどまらせたいと思っていました。

在原業平は武市丸に文を寄こしてきた貴族たちを訪ねまわりましたが、その最中に自分の牛車が燃えてしまいます。

いったい何故。業平は菅原道真に助けを求めました。

源融、別邸にて宴を催す事

庭園が完成した源融は在原業平を宴に招待しました。

藤原からは良房の名代として基経が宴に出席することになり、道真も招待されました。

恐れた是善は道真に牛車から出るなと命じました。

小便のために牛車をおりた道真は童たちが石取りで遊んでいる場に出くわします。この石取りをみて、道真はすぐに勝ち方を見破りました。

牛車に戻ろうとした道真でしたが、藤原基経と遭遇してしまいます。

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