灰原薬「応天の門」第6巻の読書備忘録(要約と紹介と感想と)

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灰原薬氏による「応天の門」の第6巻です。

今回、昭姫の過去のことについて触れられます。

そして、島田忠臣の娘・宣来子が菅原道真の許嫁となった経緯も語られました。

道真にとっては有難迷惑ですが、反藤原である源融と接点を持つことになってしまいます。

一方で、藤原氏の中でも藤原良房と藤原良相の主導権争いが始まりまりました。

舞台となる時代については「テーマ:平安時代(藤原氏の台頭、承平・天慶の乱、摂関政治、国風文化)」にまとめています。

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第6巻の基本情報

登場人物紹介:伴善男

伴善男(とも の よしお)。伴大納言と呼ばれました。

もともとは大伴氏。淳和天皇(大伴親王)の即位に伴い、避諱のために伴氏と改姓しています。

大伴氏(おおともうじ)のちに伴氏(ともうじ、ばんし)は、日本の氏族のひとつです。

摂津国住吉郡を本拠地とした天孫降臨の時に先導を行った天忍日命の子孫とされる天神系氏族です。

貞観6年(864年)に大納言になりますが、伴氏(大伴氏)から大納言になるのは、天平2年(730年)の大伴旅人以来約130年ぶりのことでした。

応天門の変で失脚し、伊豆国に流されますが、晩年の消息は不明です。

登場人物紹介:伴中庸

伴中庸(とも の なかつね)。大納言・伴善男の子です。

応天門の変で隠岐国に流されます。

関係年表

藤原良相の娘・多美子が入内するという記述がありました。

貞観6年(864年)正月には多美子を入内させ女御とします。

まだ入内していませんので、貞観5年(863年)のようです。

ーーー第6巻はここからーーー

  • 863(貞観5)
    • 神泉苑で御霊会を行い、祟道天皇、伊予親王ら6人の霊をまつる
    • 越中・越後地震、死者多数

ーーー第6巻はここまでーーー

  • 864(貞観6)
    • 富士山噴火(貞観大噴火)富士山噴火史上最大
    • 亡くなった人物(円仁(入唐八家))
  • 865(貞観7)
    • 大きな出来事がありませんでした。
  • 866(貞観8) 応天門の変
    • 最澄に伝教大師、円仁に慈覚大師の諡号が授けられる
    • 応天門の変(応天門炎上し、伴善男が罰せられる)
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第6巻の「道真の平安時代講」【解説】本郷和人

  • 宦官について。司馬遷は投獄され、宮刑に処せられていたということです。中唐、晩唐は宦官が政治権力を握った時代でした。
  • 菅家廊下について。菅原家は代々学者の家系で、はじめは菅原氏当主の書斎である山陰亭で講義が行われていましたが、手狭になり、寝殿造の中門廊を利用するようになりました。この中門廊を菅家廊下と呼びならわしました。
  • 文房四宝について。文房具のうち中心的な4つを指します。硯、墨、紙、筆です。
  • 平安の庭事情について。
  • 平安時代の労働者について。
  • 庭の趣について。自然を完成した形で庭に移植するのではなく、ひと工夫すること。庭の外の要素も借りて美を完成させること。

物語のあらすじ

長谷雄、唐美人に惑わさるる事

長谷雄が連れてきた異国の人を見て昭姫は「寧さま…」とつぶやきました。

寧は昭姫にとって大変恩義のある方でした。

寧は昭姫に奥様の形見の品を届けるために唐から渡ってきたのでした。その形見は簪です。

寧が港で起きた殺人事件の犯人でした。

昭姫は先帝の代に唐後宮で第三夫人に仕える下女でした。先帝がなくなり、権力争いに巻き込まれるのを恐れた第三夫人が昭姫らに暇を出し、昭姫はこの国に来たのでした。

在原業平は寧の姿を見て、女性ではないことに気が付きましたが、長谷雄はのぼせ上っています。

寧はこの場から立ち去るつもりでした。ですが、検問を突破しなければなりません。

道真は寧が宦官であることを利用して、正面突破するつもりです。

役人が探しているのは、唐人の女装をした背の高い男です。

島田忠臣、菅家廊下につとむる事

島田宣来子は菅原道真が昭姫と親しい様子を見て、道真が年上好みと勘違いします。その怒りを父・忠臣にぶつけました。

八年前。

菅原家の屋敷で島田忠臣は阿呼と呼ばれていた道真の世話をしていました。

ある日、師の是善から娘の宣来子を道真の妻にしたいと請われました。宣来子は4歳のころのことです。

忠臣が菅家廊下を継ぐことになりそうだとわかると、忠臣への嫌がらせが始まります…。

思い出を振り返っていた忠臣を藤原基経が呼びつけました。

源融、庭に古桜を欲す事

源融が新たに造園し始めた庭園に在原業平が連れていかれました。

この庭園に一本の山桜を移し替えたいと考えていましたが、呪われた木だと誰も移し替えの仕事をやりたがりません。

在原業平は菅原道真と紀長谷雄を伴って山桜を見に行きました。

道真はそこで誰かが山桜を移されないように祟りの話を広めたのではないかと推測しました。

道真は無理に山桜を移さなくても良いのではないかと考えていました。というのは、山桜は木の病にかかっているためです。

これを聞いていた山菜売りの女性が道真に本当かと聞いてきました。

道真が源融に木の植え替えが難しいことを伝えましたが、諦める気がありません。

そして、反藤原であることを隠そうともしませんでした。

夜。

山桜を見に行った菅原道真と在原業平は山菜売りの女性を捕まえ、なぜ祟りの話を広めたのかを問いただしました。

女性は坂上の殿と一緒に東国より北に向かった恋人を待っていて、桜が三度咲いたら戻ってくるから夫婦になろうと誓ったというのでした…。

でも桜は四度咲き、まだ恋人は戻ってきていません…。

菅原道真と在原業平は源融に諦めてもらうために、あることを考えます…。

この頃、藤原良相の娘・多美子が入内することが決まりました。身内に出し抜かれる格好となった藤原良房は心中穏やかではありません。

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