井上靖の「敦煌」を読んだ感想とあらすじ(映画の原作)

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覚書/感想/コメント

敦煌が脚光を浴びるのは、20世紀になってからです。

特に注目を浴びたのは、敦煌の石窟から発見された仏典です。

全部で4万点。

様々な言語で書かれた仏典は古語研究にとって新たな道を切り開くことになり、さらには、世界文化史上のあらゆる分野の研究を改変する宝物でした。

なぜこれほどの仏典が石窟に隠されていたのかは謎ですが、この小説に描かれていることに近いようなことが行われたのでしょう。

発見された仏典が解読可能な状態で保存されていたことの偶然と、そして何よりもこの仏典が発見されたことは奇蹟に近いことだったでしょう。

もしかしたら、敦煌と同じ様に隠された宝物は世界のどこかで眠っているのかもしれません。

1988年に映画化されました。映画「敦煌」です。

(映画)敦煌(1988年)の感想とあらすじは?
敦煌と言えば莫高窟とそこから出た敦煌文献が有名である。小説と映画の舞台となっているのは、ちょうど西夏ができて敦煌を占領した時期である。映画そのままに、この頃に敦煌文書が莫高窟の中に放り込まれ、入口を塗り込められたと考えられている。

歴史小説の周囲」の井上靖氏のエッセーも興味深いですので併せて読むのをおススメします。

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内容/あらすじ/ネタバレ

趙行徳は都開封に上って進士の試験を受けた。順当に試験をこなしたが、終盤の試験で居眠りをしてしまい、自ら試験を放棄した形になってしまった。

うちひしがれた趙行徳は試験会場をあとにして、街を歩いた。その時、趙行徳の前に現れたのは、裸で売られている西夏の女だった。

金を払い、女を自由にしてやると、女はその礼に一枚の小さい布片をくれた。この布片には趙行徳の知らない文字が書かれていた。

女に尋ねると、文字は読めないがこれがないとイルガイ(興慶)には入れないという。イルガイとは西夏の首都である。趙行徳はここに初めて西夏に文字があることを知ったのだった。

趙行徳は何とかしてこの文字を読みたいものだと思った。進士の試験を受けることに費やした情熱は、この文字に取って代わった。

趙行徳は都開封を出て、西夏の本拠地・興慶を目指したが、途中で西夏の部隊に捕われた。そして、そのまま漢人部隊に編入させられてしまい、戦いにでることとなる。所属する部隊の長は朱王礼といった。

超行徳は文字が書けるということで朱王礼に目をかけられる。そして、ついに興慶に行く機会を与えられた。西夏の文字を習得する事が出来るのである。

時が過ぎ、再び朱王礼のもとに戻ると、再び戦の日々が過ぎる。その中で、瓜州城の太守・延恵からの依頼で、仏典を西夏語に翻訳する仕事を引き受ける。だが、それには興慶から人を呼ばなくてはならない。興慶への道中は尉遅光という貿易商人と一緒になる。

再び瓜州城へ戻った超行徳は仏典の翻訳にいそしんだが、朱王礼が反乱するに及んで、状況が一変した。太守・延恵共々沙州(敦煌)へ逃げることになったのだ。

本書について

井上靖
敦煌
新潮文庫 約二七〇頁
宋 12世紀

目次

敦煌

登場人物

趙行徳
朱王礼…漢人部隊の長
尉遅光…貿易商人
延恵…瓜州城の太守
曹賢順…沙州の節度使
李元昊…西夏王の長子

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