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山本一力「あかね空」のあらすじと感想は?

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第126回直木三十五賞受賞作品です。

茜色(あかねいろ)は、アカネの根で染めた暗めの赤色のことで、「茜色の空」という表現は、真っ赤な夕焼け空がイメージされます。

「朝焼けは雨 夕焼けは日和」と言います。

夕焼け空を想起させる題名であることから、暗い夜が過ぎれば、明日は晴れになることを暗示しているのではないかと思いました。

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覚書/感想/コメント

永吉から見れば親子二代の、おふみから見れば、おふみの父母をいれて親子三代の話になります。

そして、本書ではおふみを中心に物語が進みますので、親子三代の物語と考えた方がよいと思います。

さて、本書で語られるのは「家族」です。

親子の間であっても、互いに分かり合えなく、互いにすれ違い、はたまた勘違いをしてしまうことがあります。

そして、そうしたことが誰かの死まで続き、死んだ後も誤解が解けぬままならば、それはおそらく不幸なことでしょう。

このことをおふみを中心とした登場人物が様々な形で、語りかけます。

また、おふみの家族の個人個人の思いが、それぞれの立場で短くではありますが語られていることによって、話に厚みが加わっているように感じます。

この作品は2007年に映画化されました。映画「あかね空」

(映画)あかね空(2007年)の感想とあらすじは?
山本一力の直木賞受賞作「あかね空」の映画化。江戸の深川を舞台にし、京からやってきた豆腐職人とそれを支える妻の波瀾万丈の人生、そして子供たちとの家族愛を綴る映画である。
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内容/あらすじ/ネタバレ

上方の京からやってきた永吉。深川で豆腐屋をはじめるためにやってきたが、右も左も分からない。

そんな永吉とたまたま知り合ったおふみは、永吉の世話を焼く。

おふみの助けもあり、永吉は豆腐屋「京や」を開くが、江戸の豆腐と京の豆腐は固さが違っており、好まれなかった。

しかし、徐々に客も付くようになり、永吉とおふみの二人は夫婦となった。

子宝にも恵まれた夫婦だったが、二人目三人目が生まれる都度、身内に不幸が襲ってきた。

やがて、おふみはそれぞれの子供達に対する接し方が変わってきて、永吉とはそのことが元で喧嘩になった。

子供達も成長し、「京や」も跡継ぎに恵まれ、順風満帆かに見えたが…

本書について

山本一力
あかね空
文春文庫 約四〇〇頁
江戸時代 宝暦十二年(1762)~

登場人物

永吉
おふみ
栄太郎…長男
悟郎…次男
おきみ…長女
源治…おふみの父
おみつ…おふみの母
すみ…悟郎の妻
平田屋庄六…豆腐屋
嘉次郎…豆腐の担ぎ売り
相州屋清兵衛…豆腐屋
おしの…清兵衛の妻
江戸屋秀弥…江戸屋の女将
西周…永代寺の僧
傳蔵…渡世人の親分
政五郎…鳶の親方