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池波正太郎「鬼平犯科帳 第9巻」の感想とあらすじは?

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本書で長谷川平蔵宣以は二回命が危険な目に遭っています。

一度は〔凄い奴〕との対決。もう一度は”白い粉”の時です。

それぞれに趣向は異なるのだが、久々に緊迫する場面が続くのが本書です。

とくに〔凄い奴〕との対決は圧巻です。

平蔵と井関録之助という剣術の達人二人がいかにして危ない場面を脱出するのか、是非読んでください。

なお、本書でかわいらしい登場人物、いや犬が加わります。名前はクマ。男の柴犬です。

さて、「鯉肝のお里」で登場する太鼓橋。

それが四年前。舟形の宗平が平蔵の御縄にかかる前のことだが、目黒村の盗人宿の番人をしていた宗平が或日、行人坂を下って太鼓橋へかかると、橋の向こう側からわたって来た老爺が、
「おう。舟形の宗平どんではねえか」
と、声をかけて来た。
これが、長虫の松五郎と宗平との二十余年ぶりの再会であった。
二人は、太鼓橋の傍の鰻屋へ入って、旧交をあたためた。

目黒の太鼓橋の見どころ紹介(東京都目黒区)目黒雅叙園そばの目黒川
目黒駅近くの太鼓橋は桜の名所 中目黒の目黒川も満開ですが、こちらも満開でした。 見比べてみると、中目黒の方が見事だと思います。 川幅が狭く、川を覆っているような感じが中目黒の方にはあリますが、こちらは川幅が広くてそこまでにはなっていません。...
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内容/あらすじ/ネタバレ

雨引の文五郎

平蔵が坊主の身なりで市中を見回り、笹やのお熊と話しをしていた。すると、雨引の文五郎がやって来た。平蔵は後をつけるが、同じように雨引の文五郎をつけている男がいた。その男が雨引の文五郎に襲いかかるものだから、平蔵は剣でその男をねじ伏せた。

しかし、その間に雨引の文五郎が逃げてしまった。男の面通しをさせると、舟形の宗平が男を知っていた。男は落針の彦蔵という盗賊だった。

鯉肝のお里

鯉肝のお里と異名をとる女賊がいる。腹が減ってふらふらの炬燵やぐら売りの男に飯を食べさせるが、店の女房にあらぬ勘ぐりをされ、腹立ち紛れに一両の小判を叩き付けて店をでた。その話が平蔵の耳に入る。引っかかりを覚える平蔵は、その女を見張らせる。

見張りは大滝の五郎蔵とおまさ。この二人、見張っている間に男と女の関係になってしまった。しかし、これこそ平蔵の計らいでしたことである。

泥亀

泥亀の七蔵は疾病のため盗賊を引退した。七蔵は痔持ちなのである。そんな七蔵の元に、お頭の牛尾の太兵衛が亡くなったことを関沢の乙吉が知らせてくれた。その折りに、配下の者は逃げてしまったらしい。

牛尾の太兵衛の妻子が難渋しているだろうと心配する七蔵は、なんとか牛尾の太兵衛への恩返しの意味を込めて、牛尾の太兵衛の妻子に金を送ってやろうと考える。

本門寺暮雪

細井彦右衛門のところにお見舞いをしに出かけた平蔵。途中で井関録之助と出会うが、いつになく真剣な録之助である。理由を聞くと、やたらに剣のたつ〔凄い奴〕が目の前にいるのだという。

この〔凄い奴〕はかつて録之助に傷を負わせているのである。平蔵は録之助に〔凄い奴〕の後を追わせるが途中で見失う。逆に〔凄い奴〕に後をつけられてしまった録之助であるが、そのことを予想した平蔵はおびき出そうと考える。

二人で池上の本門寺にお詣りに行くふりをしてでかけ、〔凄い奴〕をおびき寄せようとするのだが…

浅草・鳥越橋

押切の定七が風穴の仁助に、お頭の傘山の瀬兵衛が仁助の女房を寝取ったと告げる。仁助は動揺を隠せない。仁助は家に女房がいないのを確かめると、さらにお頭への怒りがこみ上げてくる。

白い粉

平蔵の料理番を務める勘助の様子がおかしい。料理に迷いがでているのを平蔵が感じるが、そのままにして様子をみる。勘助は女房をさらわれていた。これは、勘助が博奕で負けた分の金の担保がわりである。

そして、勘助の前に現れた男が、借金を帳消しにするかわりに突きつけた条件は、平蔵の口にする食べ物の中に”白い粉”を入れることであった。この”白い粉は”毒薬である。

狐雨

敏腕同心・青木助五郎には良くない噂がある。一度、平蔵は青木助五郎に直に問いただすが、動揺しない。そのまま放っておいたのだが、この青木助五郎が豹変した。豹変した青木助五郎の言動は理解しがたいものがあった。しかし、そこで語られたのは…

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本書について

池波正太郎
鬼平犯科帳9
文春文庫 約二九〇頁
連作短編
江戸時代

目次

雨引の文五郎
鯉肝のお里
泥亀
本門寺暮雪
浅草・鳥越橋
白い粉
狐雨

登場人物

雨引の文五郎
 雨引の文五郎…盗賊
 落針の彦蔵…盗賊
 お熊…笹や主

鯉肝のお里
 鯉肝のお里…盗賊
 長虫の松五郎…盗賊
 白根の三右衛門…盗賊

泥亀
 泥亀の七蔵…元盗賊
 関沢の乙吉…盗賊
 牛尾の太兵衛…盗賊
 中村景伯…医者

本門寺暮雪
 〔凄い奴〕…剣客
 井関録之助
 柴犬…犬
 細井彦右衛門

浅草・鳥越橋
 風穴の仁助…盗賊
 押切の定七…盗賊
 傘山の瀬兵衛…盗賊
 白駒の幸吉…盗賊

白い粉
 駒羽の七之助…盗賊
 花輪の万蔵…盗賊
 霰の小助…盗賊
 勘助…平蔵の料理人

狐雨
 青木助五郎…同心
 長谷川辰蔵
 京極備中守高久

池波正太郎の火付盗賊改もの