鈴木由紀子の「最後の大奥 天璋院篤姫と和宮」を読んだ感想

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覚書/感想/コメント

幕末に徳川家に嫁いできた二人の女性。13代将軍家定の正室・篤姫(剃髪後は天璋院)と14代将軍家茂の正室・和宮(剃髪後は静寛院宮)である。二人とも短い結婚生活で夫に先立たれており、後ろ盾となる身内もなくしている、

本書はこの二人のうち、篤姫にスポットを当てている。これは、2008年度のNHK大河ドラマが「篤姫」であることに関係する。原作は宮尾登美子氏の「天璋院篤姫」である。本書はその解説本のひとつとしてとらえてよい。

天璋院を印象づけるのは、討幕軍の西郷隆盛に宛てた自筆の書状の存在である。和宮の嘆願も無視して討幕軍を進軍させていた西郷を思いとどまらせたのが天璋院であった。そして、江戸城総攻撃を思いとどまらせたのである。

14代将軍になったのは紀州の慶福、名を改めて家茂であった。家茂は魅力ある人物であったようで、一橋慶喜を推していたはずの松平慶永も政治総裁職に就任して幕政を補佐したり、めったに人を褒めない勝海舟も心服していた。

天璋院は養父・島津斉彬から一橋慶喜擁立を頼まれていたが、天璋院もそうした一人となって家茂を支えていた。

天璋院と勝海舟との交友は廃藩後も続いたようである。料亭にも幾度か行ったり、吉原や芸者屋にもいったようだ。

縫い物もして、勝海舟に羽織を送ったこともあったという。シャツにも興味を持ち、御台所と仰がれていた人物とは思えないほどの変貌ぶりを見せるが、新しいものには興味を抱く好奇心の旺盛な人物だったのであろう。そして、それを取り入れるのにためらわないのは、柔軟な思考の持ち主だったともいえる。

*詳細な目次は次の通り

序章 幕末の日本を救った二人の御台所
第一章 島津家に嫁いだ将軍家の竹姫
 招かれざる花嫁
 天英院の口ぞえが決め手
 倹約令の折、異例の豪華な婚礼
 将軍吉宗や大奥との強い絆
 宝暦治水事件
 竹姫が決めた一橋家との縁組み
第二章 御台所となった島津家の茂姫
 竹姫の遺言
 開明的な田沼意次と重豪
 田沼の失脚と重豪の隠居
 蘭学好みの将軍の舅
 大いなる遺産
 とてつもない借金
第三章 将軍家定が望んだ三度目の夫人
 将軍家から申し込まれた縁談
 大奥の意向は御部屋様
 江戸にのぼる篤姫
 待たされた婚礼
 篤姫に課せられた使命
第四章 将軍継嗣をめぐる大奥工作
 水戸ぎいな大奥
 「こぶ」とおそれられた老女幾島
 病弱な将軍との夫婦生活
 斉彬の京都工作
 一橋派の敗北
第五章 皇女和宮の降嫁で対立する大奥
 新たな使命を見いだした天璋院
 安政の大獄
 皇女降嫁は両刃の剣
 内親王をむかえる姑の立場
 「御台様」とよばせない和宮
第六章 土壇場で見せた女の底力
 上洛した家茂を気づかう天璋院と和宮
 家茂死去の知らせ
 将軍慶喜への不信
 幕府を見かぎった薩摩藩
 西郷を動かした天璋院の嘆願
終章 明治を生きた天璋院と和宮
あとがき
参考文献

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本書について

最後の大奥 天璋院篤姫と和宮
鈴木由紀子
幻冬舎新書 約一九五頁
解説書

目次

序章 幕末の日本を救った二人の御台所
第一章 島津家に嫁いだ将軍家の竹姫
第二章 御台所となった島津家の茂姫
第三章 将軍家定が望んだ三度目の夫人
第四章 将軍継嗣をめぐる大奥工作
第五章 皇女和宮の降嫁で対立する大奥
第六章 土壇場で見せた女の底力
終章 明治を生きた天璋院と和宮
あとがき
参考文献

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