池波正太郎「剣客商売 第13巻 波紋」の感想とあらすじは?

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シリーズ第十三弾。

大治郎・三冬夫妻に子供が生まれて、三冬の活躍の機会がほとんどなくなってきました。

このことは仕方のないことですが、残念でもあります。

さて、本作最後の「夕紅大川橋」は何とも寂しい話です。

小兵衛も年をとり、昔からの剣術仲間内山文太の知らない一側面を垣間見ることになるのですが、その見たあとの結末が何とも寂しいのです。

そして、そのことをどうにも処理しきれない小兵衛の姿が、また寂しさを倍増させるのです。

内容/あらすじ/ネタバレ

消えた女

松﨑助右衛門宅を出ての帰りのこと。秋山小兵衛は囮を見張っている徳次郎と出会う。弥七も一緒にいた。二人が見張っている囮の少女はおたみにそっくりであった。

おたみは小兵衛が四谷で道場を開いていた時の女中であった。なぜ、そのおたみに似た少女を見張っているのかといえば、先日、町奉行の同心・永山精之助が殺されたのだが、その犯人につながる手がかりだからなのだ。

徳次郎に岩戸の繁蔵が、永山を殺したのは山口為五郎だと告げてから、見張りが付いたのだ。

波紋

秋山大治郎が朝も暗い内に家を出た。その時のこと、大治郎を狙って矢が放たれた。しかし、大治郎には当らず、逆に大治郎の反撃をくらう。

この大治郎を襲った浪人が殺されてしまう。いわゆる間男をしているところを、ぶすりとやられたのだ。やったのは、七助という桶屋である。この七助は岩戸の繁蔵の兄である。しかし、大治郎を襲ったのはなぜなのか?

剣士変貌

笹屋の後妻・お吉の姿を見かけた。そして、そのお吉と会っている侍を秋山小兵衛は知っている。名を橫堀喜平次という。

橫堀は昔、小兵衛と親交のあった中西弥之介の道場で食客として剣術を教えていた。その後独り立ちして道場を持ったのだが、そのあとがいけなかった。気が付くと身を持ち崩してしまっていた。

その橫堀とお吉は会っても淫らなことをしているわけではないらしい。一体二人は何のために会っているのか?

中沢春蔵に金十両で立派な風采の侍を叩きのめしてくれと頼んだのは平吉である。気絶させるだけのことをして金十両とは美味しい仕事である。中沢は引き受け、その通りにした。

この中沢春蔵は秋山大治郎と親交がある。大治郎宅に伺った時のこと。大治郎の元に笠原源四郎が殺されたとの一報がやって来た。中沢春蔵は聞いている内に、その笠原は自分が叩きのめした侍ではないかと確信し、青ざめてしまう。

平吉め、だましやがって。中沢春蔵は平吉を懸命に探し始める。

夕紅大川橋

秋山小兵衛は横山正元と一緒にいる時に、内山文太が岡場所の女と一緒にいるのを見かけた。その後、鐘ヶ淵に帰ると内山文太の家の者がやってきて、内山文太が行方知れずになっているという。

内山文太と一緒にいた女のいた店に行くと、女は足ぬけをして店にはいないという。小兵衛が思い出した昔のことを頼りに探していると、内山文太に出会う。そして、内山文太が娘の命が危ないと涙ながらに訴える。これは一体どういう事なのか?

本書について

池波正太郎
剣客商売 波紋
新潮文庫 約三一〇頁
短編集
江戸時代 田沼時代

目次

消えた女
波紋
剣士変貌

夕紅大川橋

登場人物

消えた女
 山口為五郎
 おみつ
 (おたみ)

波紋
 七助…桶屋
 岩戸の繁蔵
 井上権之助
 関山百太郎

剣士変貌
 橫堀喜平次
 お吉…笹屋の後妻
 横山正元
 内山文太


 中沢春蔵…浪人
 平吉
 笠原源四郎
 高橋又十郎

夕紅大川橋
 内山文太
 お清
 お直
 (静)
 横山正元

剣客商売シリーズ

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