池波正太郎「剣客商売 第9巻 待ち伏せ」の感想とあらすじは?

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シリーズ第九弾。

「或る日の小兵衛」では、小兵衛の行く先々でトラブルに見舞われます。

この短編の最後を読むと、”小兵衛、そっちではないのだよ”とトラブルが暗示し続けている気がします。

トラブルがここまで続くと、普通の人間なら出直そうと考え、家に戻るのでしょうが、そこは小兵衛、乗り切ってしまうのでこの暗示も役に立たないということなのでしょうか。

この小兵衛ですら病気にはなるようです。「剣の命脈」では風邪を引いた小兵衛の姿が描かれています。

超人的な小兵衛でも病気になることがあるようです。

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内容/あらすじ/ネタバレ

待ち伏せ

秋山大治郎を後から斬りつけた若者が親の敵と言った。相手は人違いとすぐに覚ったらしいが、それにしてもと気になる。

大治郎を襲った者は、大治郎が出てきた屋敷の誰かと間違えたのではないか。そう思った大治郎は確認しに行こうとするが、なにせ相手は父・小兵衛が世話になった若林春斎の屋敷。どう切り出してよいやら。

さて…三冬が身籠もったようである…。

小さな茄子二つ

落合孫六が義弟・上総屋清兵衛のかわりに金を取りに行った。義弟が博奕で借金を作り、百両の金が必要になったのだが手許にない。博奕の胴元が低利で金を貸してくれる絵師を紹介してくれるというので、そこに借りることにしたのだ。

さて、孫六が金を借りていそいそと帰る途中、孫六は不覚にも襲われ金を盗まれてしまった。

或る日の小兵衛

秋山小兵衛が手水に起きたとき、軒先に白い着物をまとった老婆が立っていた。それは、はじめて女の肌を抱いたのがおきねだった。小兵衛は、おきねが死の間際に訪ねてくれたものと確信し、おきねを訪ねることにした。

しかし、この日は、小兵衛の乗った駕籠が暴れる浪人に襲われり、暴れ馬出くわしたり、はたまた小兵衛が懲らしめた浪人に襲われたりと、大変な一日で…

秘密

秋山大治郎が杉原秀に田沼意次邸内の道場へ月何度が稽古をつけに来てもらおうと思っていた帰りのこと。小娘にいたずらをしていた浪人どもを退治していた大治郎を見ていた侍がいた。

その侍は宮部平八郎と名乗った。そして唐突に大治郎に人を五十両で殺して欲しいと頼む。相手は滝口友之助という。しかし一体何の理由で殺しを頼むのか?

討たれ庄三郎

「鬼熊」の文吉が連れてきた浪人は黒田庄三郎といった。秋山小兵衛に果たし合いを見届けて欲しいと頼む。

そして死に様もと頼む。黒田庄三郎はこの果たし合いで、相手に討たれてやろうと考えていたのだ。だからこの様な言葉が出てきたのだ。

冬木立

秋山小兵衛は三年前、激しい雨に叩かれて飛び込んだ飯屋で出会った小女のことを思い出していた。今どうしているのだろうかと。

そして訪ねてみると店は三年前の面影はなかった。破落戸が居座り、客の気配など無い。そして小女の面影もずいぶんと変わってしまっていた。何があったというのだ?

剣の命脈

志村又四郎は病み衰え、死も間近という体であった。しかし、思い残すことが一つだけあった。それは一度秋山大治郎と真剣で勝負をしてみたいというものだった。いてもたってもいられず、又四郎は大治郎を訪ねることにした。

そのころ、大治郎は、植村友之助が寝込んだと聞いた父・小兵衛のかわりに見舞いに行くところだった。小兵衛は風邪を引いて自分で見舞いに行けないのだ。

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本書について

池波正太郎
剣客商売 待ち伏せ
新潮文庫 約三一〇頁
短編集
江戸時代 田沼時代

目次

待ち伏せ
小さな茄子二つ
或る日の小兵衛
秘密
討たれ庄三郎
冬木立
剣の命脈

登場人物

待ち伏せ
 若林春斎
 佐々木周蔵
 おりく

小さな茄子二つ
 落合孫六
 上総屋清兵衛…孫六の義弟
 小川屋亀蔵
 住吉桂山…絵師

或る日の小兵衛
 おきね

秘密
 宮部平八郎
 滝口友之助

討たれ庄三郎
 黒田庄三郎
 関万之助
 黒兵衛…猫

冬木立
 おきみ
 竹造
 若松屋文五郎…香具師の元締

剣の命脈
 志村又四郎
 岩瀨伝吾
 坂井慶蔵

剣客商売シリーズ

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