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池波正太郎「剣客商売 第7巻 隠れ簑」の感想とあらすじは?

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シリーズ第七弾。

個人的に「剣客商売」の中では好印象の作品です。面白く感じた作品が多かったためだと思います。

まず、盗賊としてどこをどう見込まれたのか、分からない傘徳の話などは、最初のうちコミカルな印象がある分だけ、最後の場面にはつまされるものがあります。

大江戸ゆばり組も同様にコミカルな作品です。こちらは最後までコミカルな作品です。

続く、越後屋騒動ではミステリータッチな作品になっています。

うまい具合に違う楽しみ方の出来る作品が詰まっているのが、本書を面白く感じた所以ではないかと思います。

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内容/あらすじ/ネタバレ

春愁

刀屋の嶋屋孫介が後藤角之助を見かけたという。秋山小兵衛は見出したのであれば、斬って捨てなければならないという。

十二年前のこと…。当時小兵衛が可愛がっていた弟子の笠井駒太郎が殺された。しかも、殺したのが小兵衛であると、したためられた紙が残されていたのだ。当日、笠井駒太郎と後藤角之助が立ち話をしているのを見かけたという証言が出て話は急展開するのだが、その時には後藤角之助は逃げていなくなっていた。

徳どん、逃げろ

四谷の御用聞き弥七の手下、傘徳こと徳次郎が中間部屋で博奕をしていたのを見ていた者がいた。そして、どこをどう見込んだのか、徳次郎をしっかりした盗賊であると思い声をかけてきた男がいる。男は八郎吾と名乗り、徳次郎に盗みの助けをして欲しいと頼む。盗む先は鐘ヶ淵に住む爺様と若え女房と二人暮らしをしている所だという。

隠れ簑

老僧を取り囲んでいる侍たちを秋山大治郎は追い払った。助けた老僧を大治郎は見知っていた。それは、一昨年の春、浅田忠藏に関わる事件に巻き込まれて遠州・見附宿に行った帰りのことである。盲目の武士を介護士ながら旅をする老僧に出会ったのである。この時の老僧を大治郎は助けたのだが、この老僧と盲目の武士は今も一緒にいるらしい。この二人の関係とは?

梅雨の柚の花

秋山大治郎に弟子がもう一人できた。田沼家用人の生島次郎太夫からの推挙によって来た笹野新五郎である。この笹野新五郎はなにやら内に鬱屈したものを抱え込んでいるようであったが、剣の修行をするにつれその瘧が落ちるかのようであった。笹野新五郎は好いた女・おたかの非業の死の敵を取ろうと思っていたのだ。

しかし、この笹野新五郎を別の理由で狙うものがおり…

大江戸ゆばり組

鰻売りの又六が面白い話をしてくれた。それは、川野玉栄という絵師の隣に住むおきんという女は妾商売をしているのだが、最近になって旦那から手切れ金をもらい、ある意味失業したという。そして新たに旦那を見つけるつもりでいるが、気に入らなければたった一晩で手を切る方法があるという。

秋山小兵衛は面白くその話を聞いていたが、その新しい旦那というのが、小兵衛も知る富山治五郎と知って…

越後屋騒ぎ

秋山小兵衛が植村友之助と為七の所に遊びに行った帰りのこと。子供を勾引そうとしている現場に出くわす。小兵衛は子供を救い出し、親元に届けるが、子供の祖父である越後屋半兵衛が礼にやってこない。本人がやってこず、かわりに番頭を寄越してくる始末。なにやら越後屋には秘密があるようで…

決闘・高田の馬場

父・小兵衛の弟子・吉村与惣次が、秋山大治郎が声をかけるのを止めてしまうほど浮かぬ顔で歩いている。それには理由があった。主・高木筑後守から試合を命じられているのだ。相手は久世帯刀の家臣・羽賀儀平。しかも、その試合には双方あるものを賭けているという。この賭けた代物はいずれが勝っても双方の家名に傷が付くものである。

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本書について

池波正太郎
剣客商売 隠れ簑
新潮文庫 約三四五頁
短編集
江戸時代 田沼時代

目次

春愁
徳どん、逃げろ
隠れ簑
梅雨の柚の花
大江戸ゆばり組
越後屋騒ぎ
決闘・高田の馬場

登場人物

春愁
 後藤角之助
 笠井駒太郎
 飯田平八郎直行
 嶋屋孫介…刀屋

徳どん、逃げろ
 徳次郎…下っ引
 土﨑の八郎吾
 権兵衛

隠れ簑
 了念
 堀内
 佐藤弥五郎
 阿部新之助
 六鄕左門
 坂部豊太郎

梅雨の柚の花
 笹野新五郎
 おたか
 飯塚釜之助
 松平鎌太郎
 加藤勇右衛門…剣客
 生島次郎太夫…田沼家用人
 小出源蔵…剣客

大江戸ゆばり組
 川野玉栄…絵師
 本多河内守
 富山治五郎…本多家用人
 小出源蔵…剣客

越後屋騒ぎ
 越後屋半兵衛
 伊太郎…孫
 湯島の長兵衛…御用聞き

決闘・高田の馬場
 吉村弥惣次…小兵衛の弟子
 高木筑後守…大身旗本
 久世帯刀…大身旗本
 羽賀儀平

剣客商売シリーズ