鎌倉最古の寺
杉本寺(すぎもとでら)は山門(仁王門)からさらに上ったところに本堂(観音堂)が建っています。
山門から本堂へ上る正面の鎌倉石の石段はすり減っていて通行禁止となっています。この階段がいい具合に苔むしているのです。
その本堂はかやぶきの屋根で、とても見事です。密教仏堂で、棟札から延宝6年(1678年)の建立と判明しています。
本堂に入ると、中央に本尊の十一面観音、右手に毘沙門天、不動明王、観世音菩薩三十三応現身、左手に新、十一面観音と地蔵菩薩二体、一番左にはおびんずる様など。
一番奥に祀られているのは、秘仏の三体の十一面観音。中心が慈覚大師作、 右手が恵心僧都作、左手が行基作で、覆面観音とか下馬観音とも呼ばれています。
ひざまずくと、ほのかな明かりの中に十一面観音像が奥に拝めるようになっています。
ここまで間近に秘仏を拝めるのは珍しいように思えます。拝んでみるととてもすがすがしい気持ちになります。ここはおススメ。
近くにある報国寺といい、この杉本寺といい、この一帯はいい寺があります。
奈良時代の天平6年(734年)行基が十一面観音を安置して創建したのに始まります。
背後に杉本城があり、足利方の武将で鎌倉府執事を務めた斯波家長(?-1337年)が拠りましたが、南朝方の北畠顕家に攻められ、この寺で自害しました。
本堂右手前には杉本城の戦いで戦死した斯波家長と一族の供養塔とされる石塔群があります。
縁起
当山は天平6年(734年)聖武天皇の后である光明皇后の御願により藤原房前、行基菩薩によって建立されました。
御本尊は天平6年(734年)行基菩薩御作、仁寿元年(854年)慈覚大師円仁御作、寛和2年(985年)恵心僧都源信御作の三体の十一面観音様です。
鎌倉時代大災がおこった際に御本尊三体自ら庭内の大杉の下に火を避けられたので、それより「杉の本の観音」と呼ばれたという言い伝えがあります。
また、礼を欠き、信心なくして馬で寺の前を通り過ぎる者は落馬するというので、建長寺開山大覚禅師が祈願し自らの袈裟で行基善薩が彫られた十一面観音様の お顔を覆ったところ落馬する者がなくなったといいます。
本堂向かって正面には源頼朝公寄進の前立本尊十ー面観音様が安置されています。
杉本寺
杉本寺の概要
項目 | 内容 |
---|---|
山号 | 大蔵山 |
院号 | – |
正式名 | 大蔵山 杉本寺 |
開基 | 開山 行基…天平6年(734年) |
宗派 | 天台宗 |
本尊 | 十一面観音 |
別称 | 杉本観音 |
備考 | 坂東三十三箇所 鎌倉三十三箇所第1番札所 鎌倉地蔵尊霊場第4・6番札所 |
文化財
重要文化財
- 木造十一面観音立像(像高166.7センチ)
- 木造十一面観音立像(像高142センチ)
神奈川県指定文化財
- 本堂
地図
所在地 神奈川県鎌倉市二階堂903