藤沢周平「風雪の檻 獄医立花登手控え 第2巻 」の感想とあらすじは?

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獄医立花登手控え第2弾(全4巻)

前作までは、遊びに遊んでいたおちえが遊びを止め、しおらしくなっています。

登のことも登兄さんと呼ぶようになり、そのことには満足している登ですが、今度は新谷弥助の素行が怪しくなってきました。

どうやら変な連中の用心棒まがいのことをしているらようです。登にとっては新たな頭痛の種です。

忙しい獄医としての仕事の傍ら、新谷弥助の行方を捜し回ります。

本書は、一つには新谷弥助との友情を巡る物語であり、もう一つは微妙に変化してきた従妹・おちえとの関係を巡る物語でもあります。

  1. 春秋の檻-獄医立花登手控え-
  2. 風雪の檻-獄医立花登手控え-
  3. 愛憎の檻-獄医立花登手控え-
  4. 人間の檻-獄医立花登手控え-
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内容/あらすじ/ネタバレ

老賊

新谷弥助が最近道場に現れない。登が心配していると師範代の奥野から呼ばれ、弥助を妙な場所で見かけたという。奥野も心配をしているらしい。登は何をしているのかと弥助に腹立たしい気持ちを持つ。

登がいつものように獄医としての仕事をしていると、容態のかなり悪い捨蔵から頼まれ事をされた。別れた娘を捜して欲しいというのだ。登は頼まれたおちかという女子を捜すが、頻繁に引っ越しをしておりなかなか足取りがつかめない。

そうしている内に、捨蔵とこそこそ話しをしている輩がいると教えられる。その男は守宮の助という凶悪な人間だった。捨蔵は一体何者なのか?そして、捜してくれと言われた娘との関係とは?

幻の女

新谷弥助は実家にもほとんど戻っていないらしい。家族の者が心配しており、登も心配の色を深める。

さて、腹の具合の悪かった巳之吉が、登に診てもらっているときに、おこまとい女の話をした。おこまは心根の優しい女だったようである。遠島になる巳之吉がそんなことを話し、登もそのおこまという女が気になった。

そのおこまを捜してみようと思ったのは、巳之吉が一度は裏の世界から足を洗おうとした男だったせいもある。せめて、遠島の際に見送る人がいてもいいのではないかと思ったのだ。

しかし、捜してみると意外にもおこまは小伝馬町の牢にいることが分かった。つまり、同じ屋根の下にいたのである。なぜおこまは牢に入れられたのか。

押し込み

おしづという女に対して、不憫な思いを抱いていた源次は、仲間の保次郎と金平に押し込みの誘いをする。押し込んで奪った金の一部をおしづに渡そうというのだ。

しかし、金平がふとしたことから牢に入れられ、金平はそこでとんでもないことを知る。金平は登に、源次・保次郎の二人に思いとどまるように伝えてくれと言う。登はこのことを二人に告げるが、二人は無視をする。金平が二人を止めようとしたのは何故なのか?

化粧する女

新谷弥助について、ある人を訪ねると、その人の身代わりに用心棒まがいのことをしていることが分かった。

さて、高瀬与力が執拗に房五郎を責め立てる。高瀬なりに理由はあるのだが、登はそのやり方に不満を感じていた。登は房五郎のことを調べてみる。すると、おつぎという房五郎の女房は、房五郎を心配していた。しかし、登はこの女房を別のところで見かける。しかも、以前会ったときはほとんど化粧をしていなかったのに、化粧をしっかりと施している。この女房の本性はどっちなのか?

処刑の日

大津屋が妾殺しの容疑で捕まり、死罪が決まっている。処刑の日まであとわずかとなり、大津屋は絶望からやせ衰えてゆく。大津屋は無実を訴えたのだが、認められなかった。そのために絶望したのだろう。

しかし、従妹のおちかの一言で、登はこの大津屋が犯人ではないのではないかと思う。

一方、登は師範代の奥野と共に新谷弥助を連れ戻しに赴く。

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本書について

藤沢周平
風雪の檻
獄医立花登手控え
講談社文庫 約二五五頁
連作短編集
江戸時代

目次

老賊
幻の女
押し込み
化粧する女
処刑の日

登場人物

立花登…医者
小牧玄庵…叔父、医者
松江…叔母
おちえ…従妹
おきよ…小牧家の女中
新谷弥助…登の柔術仲間
鴨居左仲…登の通う道場の師匠
園井…鴨居左仲の孫娘
奥野研次郎…登の通う道場師範代
おあき…おちえの友達
吉川恒朴…医者、叔父の酒飲み友達
曾村杏斎…医者、叔父の酒飲み友達
矢作幸伯…獄医
土橋桂順…獄医、矢作幸伯の後任
藤吉…岡っ引
直蔵…藤吉の手下
千助…藤吉の手下
百助…岡っ引
平塚…牢屋同心
水野…牢屋同心、平塚の碁敵
万平…牢の下男
平助…鋳かけ屋、盗みで度々牢に入る
おしん…平助の娘
仁兵衛…大牢牢名主
おたつ…女牢の牢名主
およね…女牢の牢名主、おたつの後釜
老賊
捨蔵
おちか
守宮の助
長右衛門…二間牢牢名主

幻の女
巳之吉
おこま
政之助…岡っ引

押し込み
平助
おしん…平助の娘
保次郎
源次
金平
おしづ

化粧する女
高瀬甚左衛門…奉行所吟味方与力
房五郎
おつぎ…房五郎の女房

処刑の日
大津屋助右衛門
おゆき…大津屋の養女
新七…大津屋手代
加瀨作次郎…南町奉行所定町回り同心
吉次…岡っ引

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