藤沢周平「彫師伊之助捕物覚え 第1巻 消えた女」の感想とあらすじは?

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おようという行方不明になった娘を追っている内に、だんだんと深い闇の中に誘い込まれていく伊之助。

江戸の暗黒街を描いており、江戸の深い闇は底の知れない程に深いです。

伊之助は、もと凄腕の岡っ引ですが、幾度も危ない目に遭います。

岡っ引を辞めているので、助けてくれる者がいません。一人で危ない橋を渡らなければならないのです。

そういう意味では、ハードボイルド小説の探偵のような感じなのかもしれません。

結末に至るまでの過程が、緻密かつ複雑な小説のため、最後まで飽きが来ないで読み通せます。

この彫師伊之助捕物覚えとほぼ同じ設定の短編があります。

暗殺の年輪」に収録されている「囮」です。恐らく、この囮の設定をそのまま生かしたのが本シリーズだと思われます。

  1. 消えた女-彫師伊之助捕物覚え-
  2. 漆黒の霧の中で-彫師伊之助捕物覚え-
  3. ささやく河-彫師伊之助捕物覚え-
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  6. 霧の果て-神谷玄次郎捕物控
  7. 橋ものがたり
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内容/あらすじ/ネタバレ

伊之助は妻のおすみが男と逃げて心中してから岡っ引を辞めて、彫師として専念していた。おまさという幼馴染の女がいるが、おすみとのことがあり、今ひとつ先に進もうという気になれない。

その伊之助のもとに元岡っ引の弥八がやってきた。娘のおようから助けの文が届けられたので、助けて欲しいという。おようは由蔵というやくざ者と一緒になったので、弥八は勘当したのだが、やはり実の娘からの声とあっては捨てておけないらしかった。伊之助は岡っ引を辞めていた手前気が進まない。しかし、できる範囲でならということで引き受ける。

伊之助は彫師としての仕事の傍ら、おようの行方を探し始める。由蔵から当たりを始めるものの、手がかりがない。新田の辰という博奕の元締にも掛け合うがはぐらかされてしまう。そのうちに、由蔵が殺されてしまう。

その殺された由蔵は、殺された晩に誰かと会っていたらしい。それは一体誰なのか。

一方、かつて伊之助が岡っ引として働いていた頃の上司・半沢清次郎は、ながれ星と異名を取る盗賊の行方を追っていた。そのながれ星が、高麗屋に忍び込んだらしい。しかし、この高麗屋からの届け出が遅れたことに不審を覚える。そこで半沢は高麗屋の身上を調べ始める。

本書について

藤沢周平
消えた女
彫師伊之助捕物覚え
新潮文庫 約三五五頁
江戸時代

目次

かんざし
やくざ者
ながれ星
離れの客
おうの
遠い記憶
闇に跳ぶ
凶刃
春のひかり

登場人物

伊之助
おまさ

弥八…元岡っ引
およう…弥八の娘
由蔵…おようの夫

新田の辰(山鹿屋徳右ヱ門)
兼吉
高麗屋次兵衛
おうの…高麗屋の妻

ながれ星…盗賊

半沢清次郎…定町回り同心
浅吉…岡っ引

藤蔵…彫藤親方
峰吉
圭太

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