藤沢周平の「夜消える」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

「踊る手」…幼い信次の目から見た出来事を綴っており、信次には理解し難い夜逃げが事の発端となる小説である。最後のシーンが、なんとも言えず印象的であり、その情景が文面から浮かび上がってきそうである。

「遠ざかる声」…亡き妻の霊と話ができる夫を主人公としている。設定自体が、藤沢周平作品として一風変わっている。

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内容/あらすじ/ネタバレ

夜消える

おのぶの亭主兼七は雪駄職人だった。昔は腕がよいといわれていたが、いまは酒毒におかされている。今となっては酒が手放せなくなっている。

娘のおきみが大工の新吉と所帯を持つといってきた。おきみの心配は兼七である。こんな親がいたら新吉と所帯が持てないのではないかと思っている。

ある日、兼七がおきみの所に酒を飲むための金をせびりに行き…

にがい再会

源次が新之助に、おこまが戻ってきたといった。おこまは、源次と同じように新之助にとっては幼馴染である。だが、そのおこまは岡場所から戻ってきたというのだ。

新之助はかつておこまに恋心を抱いていた時期があった。新之助は、岡場所から戻ってきたとはいっても、一度はおこまを訪ねようと思っていた。

おこまとの再会が済んで、しばらくしてからのこと、おこまが新之助に金を貸してくれないかと言ってきた。

永代橋

菊蔵はある場所で別れた女房のおみつと出会った。おみつと別れたのは仲が悪くてのことではない。

別れた当時菊蔵は博奕にはまっていた。ある夜、子供が熱を出して寝込んでいた。菊蔵はそれを知りながら博奕へと向かっていった。そして、子供を亡くしてしまった。それで別れたのだ。

踊る手

信次が遊びから帰ってきたら、人が集っている。おきみの家が夜逃げをしたというのだ。それも、寝たきりの老婆を置いてである。裏店の人間はそのことを口やかましく言い立てていた。

老婆は、その日以来食事を取らなくなった。裏店の人間は心配し、信次の母親も心配した。そこで、ある日、信次は老婆に可愛がってもらったことがあったので、信次に食事を持って行かせることにしたのだ。

消息

夫の作次郎が突然姿を消して五年が経つ。おしなは、その作次郎の消息を聞くことが出来た。おしなは、作次郎を捜すが、その先々で消息は消えてしまう。作次郎は一つ所に腰を落ち着けず、すぐに引っ越してしまうからだ。

だが、ひょんなことで、作次郎に合うことが出来た。そして、初めて作次郎が姿を消した理由が分かった。それは…

初つばめ

なみは幼いときに両親を亡くした。幼い弟がいたので、早いときから外に働きに出た。働き先は水商売だった。そのなみのもとを弟の友吉が訪ねて来るという。

それも、所帯を持つという女を連れてである。うれしさがあったが、いざ訪ねらると、女はどこかの店のお嬢様だった。それがなみには気にくわなく…

遠ざかる声

喜左衛門は亡き妻のはつと話をしていた。幸いなことにはつの声は喜左衛門以外には聞こえないらしかった。

話していた内容は縁談のことだった。喜左衛門におもんという女を後添えにという話が進んでいたのだ。だが、はつはこれまでも幾度となく喜左衛門に来た縁談をぶち壊しにしている。

相手の枕元に立つなどのやり方でである。今度はそうさせてたまるかと喜左衛門は思う。案の定、はつはおもんという女は悪女だから止めた方がいいという。

喜左衛門ははつの焼き餅だろうと思っていたが、気になったので、おもんのことを調べてみた。すると…

本書について

藤沢周平
夜消える
文春文庫 約二二五頁
短編 江戸時代

目次

夜消える
にがい再会
永代橋
踊る手
消息
初つばめ
遠ざかる声

登場人物

夜消える
 おのぶ
 兼七…亭主
 おきみ…娘
 友蔵…手代
 新吉

にがい再会
 新之助
 おこま
 源次…畳屋

永代橋
 菊蔵
 おみつ

踊る手
 信次

消息
 おしな
 作次郎
 龍吉
 伊豆屋善兵衛

初つばめ
 なみ
 友吉
 滝蔵

遠ざかる声
 新海屋喜左衛門
 はつ…亡き妻
 おもん
 参次…下っ引
 まさ

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