佐伯泰英の「密命 第7巻 初陣-密命・霜夜炎返し」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

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覚書/感想/コメント

シリーズ第七巻。

徳川吉宗のたっての希望で剣術大会が行われることになった。全国から様々な流派の剣客が集まる。剣の聖地・鹿島でもこの大会の出場者を選ぶ事になった。

鹿島では、金杉惣三郎の息子・清之助が米津寛兵衛の下で修行している。父の寒月霞斬りの一の太刀、二の太刀、残月と並ぶような剣を編み出したいというのが清之助の願いである。そのために、蝋燭を前に稽古に励んでいる。その姿は師の米津寛兵衛が密かに見守っていた。そして、寛兵衛は清之助が編み出そうとしている剣を霜夜炎返しと名付けていた。だが、まだ剣は完成していなかった。

この清之助が、厳しい修行と試練を経て剣術大会に出場することを得る。まさに”初陣”にふさわしい。

まだ十八の清之助、父惣三郎が同年だったときより遙かに剣に優れている。末恐ろしき若武者の登場である。

今回の敵は内裏一剣流を遣う一条寺菊小童である。秘剣・鞘の内、鞘の外を携え、今回は惣三郎だけでなく清之助にも襲いかかる。

これを金杉親子はどう迎え撃つのか?

さて、清之助はあることで、金杉清之助宗忠と名乗ることになる。そして、これから清之助の本格的な修行が始まる。

これからの清之助の成長が楽しみである。

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内容/あらすじ/ネタバレ

享保六年(一七二一)夏。享保の改革が実施される中、徳川吉宗は老中水野和泉守忠之と大岡越前守忠相を呼んだ。

剣術第一を決める剣術大会を催して武士の本義を呼び起こそうと思う、という。吉宗の肝煎で剣術大会を開催せよと言うのだ。

そのおり、金杉惣三郎の腕前もみたいと言ったが、大岡は惣三郎は吉宗を守る最後の砦だから、やめた方が良いという。吉宗も残念だが、仕方ないとあきらめた。

だが、惣三郎をこのたびの大会に関わらせることにした。

金杉惣三郎はしの、みわ、結衣の家族四人で鎌倉へ旅をした。しのを連れて行きたいところがあったためであるが、もう一つ目的があった。それは、自分の背丈を超えた息子・清之助のための剣をこしらえることである。

途中、惣三郎は津軽卜伝流の棟方新左衛門が襲われるのに立ち会う。相手は濃州高須城下の平沢道三郎の門弟で、師匠の仇を討つという。高須藩は尾張の分家である。

江戸に戻る頃は夏の真っ盛りであった。剣客界の古老達が集まり、相談が始まっていた。惣三郎は剣術大会が済むまで老中・水野家のお抱えの剣術指南役となることになった。

この頃、狐の面を被った数人組の強盗が横行していた…。

惣三郎は、大岡忠相とともに水野忠之に目通りし、形ばかりの剣術指南役で辻褄合わせをする予定だった。だが、老中・水野忠之は惣三郎の腕を試した。そして、本気で召し抱えようと言って、大岡を慌てさせた。

車坂の道場からの帰り、惣三郎をつけている人物がいた。刺客だ。その刺客は惣三郎の秘剣・寒月霞斬り一の太刀と同じ構えをした。

その刺客は一条寺菊小童であることがわかった。公卿の有志が密かに蘇らせた王城の地に伝えられてきた内裏一剣流という剣を遣うらしい。一体誰が惣三郎に刺客を送り込んだのか?鎌倉の一件で、濃州高須藩が絡んでいるのか?さらに、これに尾張も絡んでいるのか?

鹿島では清之助は父に匹敵する技を創案したいと、一年以上前から稽古していた。父が水に映る月に想を得たのなら、自分は炎を斬り分けてみせる。

鹿島にも剣術大会の知らせが密かに届いた。そして、清之助は師匠・米津寛兵衛の供として江戸に向かった。

その頃、江戸の石見道場には惣三郎が鎌倉で出会った津軽卜伝流の棟方新左衛門がやってきていた。技量も人間も申し分のない新左衛門は石見道場に当分厄介になることになった。

江戸に木枯らしが吹く季節。剣術家が姿を見せ始めていた。流浪の剣士達の出願願いが締め切られ、人選が行われた。そして、各流派の代表者も決まり、総勢三十名での大剣術大会が始まった。鹿島からは…

果たして、平穏無事に大会は終わるのか?そして、この大会の第一は誰になるのか?

本書について

佐伯泰英
初陣 密命・霜夜炎返し
祥伝社文庫 約四〇五頁
江戸時代

目次

第一章 鎌倉剣難旅
第二章 炎夏お狐横行
第三章 水野家剣術指南
第四章 秘剣霜夜炎返し
第五章 菊小童妄想行
第六章 豪剣新藤五綱光
最終章 小天狗五番勝負

登場人物

水野和泉守忠之…老中
佐古神次郎左衛門…江戸家老
杉村久右衛門…用人
佐々木治一郎…御側衆
佐々木三郎助
弓削辰之助…馬廻り
柳生備前守俊方…江戸柳生新陰流
奥山佐太夫…心貫流
林左近…古藤田一刀流
渋谷遊庵…一円流
長沼右源氏…直心影流継承者
棟方新左衛門…津軽卜伝流
新藤五綱光…刀鍛冶
道明新右衛門
おふく
お玉
おしげ
飛鳥の新三
一条寺菊小童
米津寛兵衛
梶山隆次郎
市橋種三
甲吉
伊吹屋金七
葉月
山高与左衛門助常…神後流
藤里季右門…大岡忠相の密偵
お吉…大岡忠相の密偵

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