乙川優三郎「喜知次」の感想とあらすじは?

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乙川優三郎の「喜知次」を紹介します。

すばらしく清々しい作品です。

小太郎、台助、猪平の三人の歩む人生が全くといっていいほど異なっており、悲劇的な人生である場合もありますが、その中でも友情を失いません。

同時に、妹花哉との関係が相まって清冽な印象を与えてくれます。

幼い日々の綺麗な思い出が、緻密な文章で描かれているような感じでもあります。

物語の流れで、最後の最後に大ドンデン返しがあります。

どんな、どんでん返しかは、是非読んで頂きたいところです。

また、題名の『喜知次』の意味は本書の最初の方に出てきますので、読んでからのお楽しみということで…

さて、『喜知次』は『椿山』と雰囲気が似ています。

両作品とも藤沢周平の『蝉しぐれ』を彷彿させる内容となっていおり、それは、青春時代を過ぎ、大人への階段を上り始めた少年達の成長の物語とも言えます。

少年の頃の思い出は、大人になってからも、心の奥で淡く綺麗なものとして、記憶している方も多いでしょう。

そんな雰囲気が味わえる小説です。

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内容/あらすじ/ネタバレ

日野小太郎の家に花哉という女の子が養子として来た。小太郎にとって妹ができたのだ。

小太郎は、台助、猪平の三人は身分が違えども、仲の良い友と幼き日々を過ごしていた。

その頃、藩では農民による一揆が起こり、小太郎の親友の鈴木猪平の父親を含めた郡方の役人で対処していた。

しかし、その騒動の中猪平の父親が死んでしまう。裏には、藩の権力を二分する佐分利派と織戸派の抗争があり、それに巻き込まれた結果らしいが、犯人が出てこない。

仲の良かった友との関係が微妙に変わりはじめ、やがて大人への階段を、それぞれが登り始めていく。

戸惑いつつも大人になっていく小太郎にとって、妹の花哉の存在は大きな支えであった。

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本書について

乙川優三郎
喜知次
講談社文庫 約四〇〇頁
江戸時代

目次

菊の庭
暗い水
冬安居
茅花のころ
しば雨
二半
行く秋
白い月
黒雲
夜降ち
千鳥鳴く
末の露
本の雫

菊香る

登場人物

日野小太郎(弥平次)
花哉
日野弥左衛門

後藤金平
稲造
牛尾台助(出右衛門)
鈴木猪平
佐分利清太夫
織戸貞助
高野新蔵
安川左右助
おちか

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