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エリス・ピーターズの「修道士カドフェル第16巻 異端の徒弟」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

スティーブン王と女帝モードの争いは膠着状態のようである。

状況を打開するために、様々な人物の所に説得・恭順の使者が飛び交っている。

その中の一人がシュルーズベリに立ち寄ることになった。この人物こそが、この物語をややこしいものにしている張本人なのだが…

本書の物語の骨格には異端に対するキリスト教独特の教理が深く絡んでいる。

ただでさえ宗教が絡むと苦手なのが日本人である。

だから、本書で取り上げられている、キリスト教の異端信仰に関しては、感覚的に理解しづらい面があるのは当然である。

理解しづらいのは、まず、キリスト教の教理自体に馴染みがないこと、そして、時代区分によって異端信仰に対する当時の社会の取扱いが異なる点がある。これらのために、本書は若干理解しづらい面がある。

だが、それらを差し引いても、本書は読みどころが満載の物語である。

理解しづらいところは、すっ飛ばして読まれても良いのではないかと思う。

すっ飛ばしても、話の流れには付いていけるはずなので問題はないはずだ。

さて、カドフェルの助手は依然としてウィンフリッドが務めている。

彼は勤勉に仕事をこなし、カドフェルを心配させることもないようである。カドフェルのもとにおかれた助手としては、優等生のようである。

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内容/あらすじ/ネタバレ

聖ウィニフレッドの移葬祭を三日後に控えたこの日。

棺をのせた荷車を押してきた若者がいた。棺の主はリズウッドのウィリアムで、七年に及ぶ巡礼の旅に出ていたのだ。

不幸にして帰路で亡くなったが、彼とともに巡礼の旅に出たウィリアムの番頭であるイレーヴがウィリアムの亡骸を持ち帰ってきたのだ。

イレーヴはウィリアムの遺体をシュルーズベリの修道院の墓地に埋められることを希望していた。

それは、生前にウィリアムが多くの寄付等をしたことにより叶えられると信じていた。

だが、修士会で、ある助祭の発言により、事態は思わぬ方向へ行く。ウィリアムに異端の嫌疑がかかったのである。

当然ながら、イレーヴはこのことに猛抗議をした。

イレーヴには、まだやらなければならないことがあった。

ウィリアムの甥であるジラードにウィリアムの死を報告し、そして、養女であるフォーチュナータへウィリアムが託した結婚するための持参金を送ることである。

フォーチュナータの持参金は彫刻の見事に施された箱に収められていた。

イレーヴは箱の中に何が納められているのかは知らなかったが、届け終わることによって、自分の役目を果たしたことを知った。

ウィリアムへの異端の嫌疑は晴れ、遺体は修道院に埋葬されることになった。

だが、今度は悪意のある者と保身のために臆病になっている者によりイレーヴに異端の嫌疑がかけられてしまう。

そして、フォーチュナータに贈られた彫刻の見事な箱の中身を巡って悲劇が繰り広げられる。

イレーヴの異端の嫌疑は晴れるのか、そして、フォーチュナータに贈られた箱の中身とは…

本書について

エリス・ピーターズ
異端の徒弟
光文社文庫 約390頁
12世紀イギリス

登場人物

カドフェル…修道士
ラドルファス…修道院長
ロバート……副修道院長
ジェルベール…大司教の使者
ロジャー・ド・クリントン…司教
セルロ…助祭
エリアス…神父
ウィリアム(故人)…羊毛商
イレーヴ…ウィリアムの番頭
ジラード…ウィリアムの甥
マーガレット…ジラードの妻
ジーヴァン…ジラードの弟
フォーチュナータ…ジラードの養女
オールドウィン…ジラードの番頭
コナン…羊番
ヒュー・ベリンガー…州執行長官