覚書/感想/コメント
スティーブン王は女帝モードをオックスフォードで包囲をしていた。だが、決定打は打てないでいるようである。
今回の作品は、このスティーブン王と女帝モードの戦いの影響が、知らずにシュルーズベリにもやってきていたことを知らしめる。
もっとも、このことを知っているのは、カドフェルとヒュー・ベリンガーだけであるが…
さて、今作には謎に満ちた人物が数人登場する
一人は隠者・カスレッド。一体何者なのだろうか?
そして、物語の後半に登場するレイフというウォリック伯の鷹匠を名乗る人物。一体何者で、その目的は?
最後に、カドフェルに待望の助手がやってきた。
ウィンフリッドという若者はペンや筆を執らしても不器用であるが、それを鋤に変えたのなら話は違ってくる若者であった。
内容/あらすじ/ネタバレ
イートンの荘園主が長い病床の末に亡くなった。
彼にはリチャード・ルーデルという息子がおり、息子はシュルーズベリの修道院に預けられていた。
それは、読み書きを習わせるよりも、むしろ一家で権勢を奮う祖母から息子を離すのが目的だったようだ。
祖母はリチャードを隣の荘園主の娘と結婚させ違っていた。
葬儀出席のためにリチャードは修道院を出発した。
心配は、祖母のダイオニシアはこれを期に孫を引き取り、正式にイートンの荘園主にするつもりでいることである。
だから、ラドルファス修道院長は修道士を3人同行させることにした。そして、葬儀の後リチャードは無事に修道院に戻ることが出来た。
この後、ダイオニシアは巡礼者を抱えて、森の中にある草庵に住まわせたらしい。
男の評判は日に日に高まり、聖人そのものとまでいわれるようになっていた。
その聖人の噂がたってからのこと。修道院の管理している森で不可解なことが多発するようになった。
そう報告するのは管理を任されているエイルマンドであった。
この不可解なことはやがてエイルマンドに不幸をもたらした。事故により足を骨折したのだ。
エイルマンドが事故にあった頃、修道院に客がやって来た。ドロゴ・ボシェという荘園主で、逃げた農奴を探しているということだった。
ドロゴの探している人物と特徴が一致する人間が一人いた。ドロゴは早速探しに行くが、そこで殺されてしまう。一体誰が?
また、期を一にしてリチャードも姿を消してしまった。一体なぜ?
本書について
エリス・ピーターズ
アイトン・フォレストの隠者
光文社文庫 約330頁
12世紀イギリス
登場人物
カドフェル…修道士
ラドルファス…修道院長
ロバート……副修道院長
リチャード・ルーデル…荘園主の息子
ダイオニシア・ルーデル…リチャードの祖母
ロングウッドのジョン…執事
ファルク・アストレー…荘園主
ヒルトルード・アストレー…ファルクの娘
カスレッド…隠者
ハイアシンス…カスレッドの従者
エイルマンド…修道院の森番
アネット…エイルマンドの娘
ドロゴ・ボシェ…荘園主
アイマー・ボシェ…ドロゴの息子
レイフ…ウォリック伯の鷹匠
ヒュー・ベリンガー…州執行長官