藤沢周平「暗殺の年輪」の感想とあらすじは?

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第69回直木三十五賞受賞作品です。

藤沢周平のデビュー当時の作品群ですが、ほとんど全てが直木三十五賞候補になっています。そして、「暗殺の年輪」が第69回直木三十五賞受賞作品となります。

初期の藤沢周平作品は、救いのない作品が多いです。希望が見えないと言っても良いかもしれません。

この作品群はまさにそうで、最後に希望を見いだす事は難しいです。

しかし、そういう作品であるにもかかわらず、この作品群は面白いのです。

人間の鬱屈した一面を鮮やかに切り取った一枚の写真のような作品集です。

最後の「囮」と同じような設定で彫師を主人公にしたシリーズものがあります。

「彫師伊之助捕物覚え」です。興味のある方は、合わせて読むのがおススメです。

内容/あらすじ/ネタバレ

黒い縄

おしのが元夫の顔を見ようと思って、上総屋の所に行って、逃げるようにして戻る途中で、宗次郎に出会った。そのことを母に話すと、そばで聞いていた元岡っ引の地兵衛の目が光った。地兵衛が言うには宗次郎はおゆきという女を殺した犯人だそうだ。

別の日におしのは宗次郎と会う事になった。その時におしのは地兵衛から聞いた事を宗次郎に尋ねるが、宗次郎は人を殺してなんかいないという。だが、この事を聞いて宗次郎には合点がいく事があるようだ。最近宗次郎は付けられているような気がしていたのだ。

暗殺の年輪

海坂藩の葛西馨之助は最近になって自分に対する視線が冷ややかな理由を知った。父が横死した事と関係があるらしい。しかも、そのことについて母に関する噂があった。

その葛西馨之助に、貝沼金吾が用があるので、家に来ないかと誘う。貝沼家に行くと、上役が並んでいた。不審に思っていると、その上役から出されたのは、中老・嶺岡兵庫の暗殺についての事だった。馨之助に、暗殺をしろと言ってきたのだ。

ただ一撃

藩主の前で、次々に淸家猪十郎に敗れていく。藩主はこの淸家猪十郎を叩きのめさないと気が済まなかった。

そこで白羽の矢が立ったのが刈谷範兵衛であった。今は隠居の身である範兵衛は、息子夫婦の厄介になっていた。単なる老人である範兵衛に不安を隠しきれない、上司と息子。しかし、刈谷範兵衛は淸家猪十郎の姿を垣間見た時から、修行を再開する。

冥い海

葛飾北斎は鎌次郎というやくざものから、安藤広重の噂を聞いた。その後、弟子達からも話しを聞いた。広重の絵は平凡なものであるという。

しかし、北斎は気になっていた。そして、ようやくに広重の絵を見る事が出来た。弟子達の言う通り、平凡な絵だったが、逆に平凡の中に非凡が隠されている絵だった。北斎は自分を凌ぐ風景画の名手が現れたかもしれない。そう思うと、北斎の中にある感情が生まれてくるのだった。

囮

甲吉は絵の彫り師だが、その片手間に岡っ引の下、つまり下っ引きをしていた。それも、病弱な妹のためだった。
その下っ引きの仕事が来た。網蔵という男が江戸に戻ってきているようなので、その情婦・おふみを見張れという事だった。甲吉は、見張りを続けている内に、おふみに特別な感情を抱くようになった。

本書について

藤沢周平
暗殺の年輪
文春文庫 約二九〇頁
短編
江戸時代(海坂藩もの含む)  

目次

黒い縄
暗殺の年輪
ただ一撃
冥い海
囮

登場人物

黒い縄
 おしの
 宗次郎
 地兵衛…元岡っ引
 房吉…上総屋

暗殺の年輪
 葛西馨之助
 波留…馨之助の母
 嶺岡兵庫…中老
 貝沼金吾
 貝沼菊乃
 徳兵衛
 お葉

ただ一撃
 刈谷範兵衛
 三緒…嫁
 淸家猪十郎

冥い海
 葛飾北斎
 安藤広重
 鎌次郎
 お豊

囮
 甲吉
 徳十…岡っ引
 おふみ
 網蔵
 喜三郎
 彫宇

「海坂藩もの」が収録されている作品

  1. 隠し剣孤影抄
  2. 隠し剣秋風抄
  3. 暗殺の年輪 本書
  4. 蝉しぐれ
  5. 冤罪
  6. 竹光始末
  7. 静かな木
  8. 闇の穴
  9. 闇の梯子
  10. 雪明かり
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