池波正太郎の「黒幕」を読んだ感想とあらすじ

この記事は約5分で読めます。
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

覚書/感想/コメント

「夫婦の城」「槍の大蔵」「獅子の眠り」が真田もの。

「雲州英雄記」

山中鹿之助が摂津の豪農の娘に産ませた子・山中新六が財閥・鴻池家の先祖となっているのは歴史の奇妙さという感じがする。

「霧の女」

全く同じモチーフで「忍びの女」が描かれている。

「命の城」

この辺りは真田太平記に詳しい。

「獅子の眠り」

全く同じモチーフで「錯乱」「獅子」が書かれている。

スポンサーリンク

内容/あらすじ/ネタバレ

雲州英雄記

尼子家中随一の美男でもあり豪傑でもある山中鹿之助。だが、尼子家は毛利に圧され昔日の面影はない。やがて毛利に滅ぼされるはめとなる。主君たる尼子義久は毛利で厚遇を受けすっかり骨抜きになってしまっている。

だが、鹿之助は尼子家復興を生涯の念願とした。その鹿之助が僧侶となっていた尼子勝久を担ぎ出し、尼子家の復興に奔走する。そのため、鹿之助が頼ったのは織田信長であった。

猛婦

お津那が秋山兵蔵の妻となり幸せな日々を過ごしていた。だが、仕える武田家も信玄が死に、勝頼の時代になると家運が傾き始めてきていた。近いうちに戦の話もある。

その中、秋山兵蔵が馬場信春に呼ばれた。谷七九郎を斬れというのだ。谷は徳川の間者であるという。だが、秋山兵蔵は逆に谷に斬られてしまう。その日、お津那の姿が甲府城下から消えた。

勘兵衛奉公記

渡辺勘兵衛衛了は若年の頃から武勲をたてていた。だが、最初の主・阿閉貞征を見限り、わたり奉公人となる。だが、かつての武勲を覚えていてくれた人物により中村一氏に仕えることとなった。

だが、この中村一氏、豊臣秀吉の北条征伐の折、本来勘兵衛の手柄とすべき所を全て自分のものとしてしまった。これにも愛想を尽かしてしまう。次に仕えたのが増田長盛で、その次の藤堂高虎への仕官は意外なところから実現した。

霧の女

福島正則が一人での遠駆けで知り合った女・小たまを自分の城の女中とした。その小たまが正則の寝所に忍びこんできた。どうやって忍び込んできたのかは言わない。だが、正則にとってそれは甘美な夜だった。

小たまは甲賀の忍びである。小たまは福島家を探り、その内容を余すことなく本多正信に仕えていた。

夫婦の城

小幡信貞に嫁いだ正子は長野業政の長女である。夫婦仲は非常によかった。そこは、戦国の世。業政の主君・上杉憲政は北条家に押され斜陽の影が濃い。こうなっては長尾輝虎と結ぶほかにない。

だが、小幡信貞は武田晴信を頼むべしとの思いが強い。ここに上杉家の武将達は二つに分かれた。そして、小幡信貞の城は囲まれた。それも長野業政にである。敗北した信貞は武田晴信を頼った。

紅炎

毛利吉成・勝永親子は関ヶ原で西軍に味方し敗れた。所領は没収され、土佐へと流された。土佐は山内一豊が治めている。この地では親子は厚遇された。勝永はここで一豊夫人の推挙により於喜佐と夫婦となる。

勝永が土佐に流されてから十五年。徳川家が大坂の豊臣家を攻めることとなった。この時を勝永はずっと待っていたのだ。

黒幕

山口新五郎直友は幼少の頃病弱な質であった。新五郎の母が死ぬと、忽然と新五郎は姿を消した。次に現れたのは二十余年経ってからである。その時には新五郎の姿にかつてのひ弱さを見出すことは出来なかった。

新五郎は不意に姿を消すことがあり、一体何の仕事をしているのかが分からない。だが、新五郎は徳川家の諜報網の重要な部分を担っていたのである。

槍の大蔵

真田家臣の雨宮大蔵の身に不幸が起きたのは豊臣秀吉が病没して朝鮮出兵が中止となったときである。大蔵が遊女を買いに行ったときに、遊女に舌をかみ切られてしまい、口がきけなくなってしまった。家中では笑いものにされた大蔵は、隠れて修行をした。

命の城

沼田城。真田昌幸がその人生を賭け奪取した城である。だが、豊臣秀吉に北条家へ沼田城を渡せと言われ、なくなく引き渡すこととなる。

秀吉の諜報網が仕掛けた罠に引っかかったのは北条家であった。真田昌幸の持つ城・名ぐるみ城を攻め、秀吉に征伐の口実を与えてしまう。

獅子の眠り

酒井雅楽頭忠清は焦っていた。信州松代藩主・真田信政が急死したときに、妹婿の真田信利を分家から本家の当主にしてやろうと思って策動したのが不味かった。

本家では信政の遺子への家督をと願い出ており、これに隠居している真田信之が立ち上がっていた。ここで酒井雅楽頭忠清の失態は密書が真田信之の手に渡ってしまったことである。

開化散髪どころ

桐野利秋の指を切った男・小野助三郎はお浜という女を助けた。小野助三郎は倒幕軍に追われる身である。お浜と夫婦になり一緒に方々をうろつき回った。そして、江戸が東京と名を変えた頃に舞い戻ってきた。

そして、助三郎は横浜へ出かけ戻ってくると散髪屋を開いた。その散髪屋に桐野利秋が訪れたのだ。

本書について

池波正太郎
黒幕
新潮文庫 約四〇〇頁
戦国時代
真田もの他

目次

雲州英雄記
猛婦
勘兵衛奉公記
霧の女
夫婦の城
紅炎
黒幕
槍の大蔵
命の城
獅子の眠り
開化散髪どころ

登場人物

雲州英雄記
 山中鹿之助
 千明
 清松弥十郎
 尼子勝久

猛婦
 お津那
 秋山兵蔵
 谷七九郎

勘兵衛奉公記
 渡辺勘兵衛衛了
 渡辺長兵衛
 於寿免
 中村一氏
 増田長盛
 藤堂高虎

霧の女
 福島正則
 於まさ
 福島正之
 小たま
 才兵衛

夫婦の城
 小幡信貞
 正子
 小幡図書之介
 於富

紅炎
 毛利勝永
 於喜佐
 毛利吉成

黒幕
 山口新五郎直友

槍の大蔵
 雨宮大蔵
 真田信幸

命の城
 真田昌幸
 豊臣秀吉
 山中長俊

獅子の眠り
 真田信之
 鈴木右近忠重
 伊木彦六
 酒井雅楽頭忠清

開化散髪どころ
 小野助三郎
 お浜
 桐野利秋

池波正太郎の真田もの

池波正太郎 池波正太郎の真田もの。「真田太平記」を筆頭にして、数多くの「真田もの」が書かれています。

タイトルとURLをコピーしました