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藤沢周平「市塵」の感想とあらすじは?

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五代将軍綱吉と八代将軍吉宗の間にいた二人の将軍・家宣と家継を支えた新井白石の物語です。

新井白石は結局、吉宗には用いられることなく、市井に下ることになりました。

新井白石が権力の中枢に上り詰めるまでの軌跡が丹念に描かれています。

そして、一旦上り詰めた権力から降りた後の様子がサッと描かれています。

このサッと描かれているために、より一層、権力を失ったものの悲壮感を際だたせている感じがある作品です。

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内容/あらすじ/ネタバレ

甲府藩主・綱豊に仕えている新井白石。当代・綱吉に子供が望めなくなり、綱豊が次期将軍として江戸城に入城する事になった。綱豊は家宣と名を改めた。

新井白石は甲府藩の家老・閒部詮房から政治顧問として家宣を助けるように頼まれていた。新井白石の博識は家宣政権にとって必要不可欠と判断したのである。

五代将軍綱吉が亡くなり、家宣が六代将軍になると、閒部詮房と新井白石は改革に乗り出した。まずは、綱吉政権下での生類憐令の撤廃である。

これを皮切りに次々と改革案を出してゆく新井白石であるが、閒部詮房以外の老中たちの抵抗が大きい。また、儒者仲間であるはずの林家を敵に回す事も行っている。

新井白石には是非とも成し遂げなければならない事があった。一つには、先代綱吉政権下での乱脈を極めた貨幣政策の抜本的改革である。そのためには、責任者・荻原重秀との対決も辞さない覚悟である。

これに時期を同じくして、家宣の代になった事に対する、朝鮮使節の歓迎式典が執り行われたり、はたまた、シドッチという宣教師の密入国問題などが浮上してくる。

これらを処理していく内に、いつしか新井白石は政権の中枢で絶大な権力を発揮する事になる。しかし、この権力の裏付けになっていた、家宣が亡くなってしまうと、徐々にその権力の足許が揺らぎ始める。家宣の次の将軍は幼年で将軍になった家継である。

徳川将軍家二代にわたり政権の中枢にいた新井白石を描いた伝記的歴史小説。

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本書について

藤沢周平
市塵
講談社文庫 計約五〇〇頁
江戸時代:新井白石

目次

市塵

登場人物

新井白石
伊能佐一郎…弟子
土肥源四郎…弟子
佐吉

閒部詮房

橫田由松…大目付
荻原重秀…御勘定吟味役

徳川家宣…第六代将軍
徳川家継…第七代将軍

ヨハン・バッティスタ・シドッチ…宣教師